ナースのお仕事的な看護師の日常

とうとう部屋持ちが始まる

今年の春に面談した時は、「人がいるから部屋持ちはしなくても大丈夫。」と師長さんから言われて安心しきっていたのですが、夏過ぎて病棟の様子が変わってきました。体調不良での長期休暇からの配置変換で1人抜け、産休で1人抜け。ヘルパーさんも1人抜けてしまい、病棟は人手不足気味。そこに最近の認知症病棟化により、病棟のあちこちで患者さんが立つし、歩くし、騒いでるしで、大変なことになっております。なので、いよいよ、フリー的な仕事をしている私が部屋持ちをしないとまわらなくなってきたようです。

 部屋持ちといえば新人時代の特別病棟の3年間と、6年前の内科病棟で2ヶ月くらいなもんですから、どんな風だったかももう思い出せない…。パートさんで常勤さんと同じ時間数働いている子に聞いてみたら、「急性期の部屋持ちはしんどいけど、ここの部屋持ちは楽。かえってフリーの方が大変。」なんですって。本当?と疑いつつ、大した情報収集もせず、部屋持ちデビュー当日を迎えます。

 当日受け持ち表を見てみると、普通に1つのチームを持たされてる!フォローはいるけど、ほぼ放置。普通、部屋持ちトレーニングは、1日目は部屋持ちさんについて回る、2日目は半分を受け持つ、3日目にフォローがいる状態で部屋持ちをするという流れを辿るのですが、さすがに1年いる人にそれは許されないらしく、最初から1チームの部屋持ち(いるようないないようなフォローつき)。しかも、朝から退院2件に外出の送り出し1件、入院翌日の人の評価が1件。やったことがない処理が目白押し!その他にも受け持ち15人くらい。わけがわかりません。

 とりあえず退院はフォローナースにおんぶにだっこでどうにかやり過ごし、後は自立の人も多いチームなので、とにかくリハビリや風呂の合間にベッドに戻った患者さんを探し出しては、検温や軟膏、点眼などをしていきます。午前中はバタバタだったけど、15時くらいになって「あれ?以外に楽?」と思ったら、今度は脳疾患にありがちな便秘の洗礼。便秘がひどすぎて、リハビリを途中で切り上げて帰ってきた患者さんの対応です。トイレから出てきた患者さんをキャッチして、摘便するも硬くて出てもこない。GEにすべきか、レシカルにすべきか。うーん。難しい。私はいちじく浣腸ですら血圧下がって脳貧血起こす人なので、GEを患者さんに勧めたくないんですよねー。逆に我慢している時に血圧が上がっちゃって再出血とかも怖いし。しかも、こんなに便がコンクリート壁のようになっているところにレシカルは果たして効くのだろうか?でも、GEも跳ね返ってきそうだし。
後はどう選ぶかは経験で学んでいこうということで、今回はレシカル座薬を選択。

 あー懐かしい。座薬。何年ぶりに入れるでしょうか。その後20分ほど我慢してもらい、祈る気持ちで吉報を待ちます。が!患者さんはがっくりとトイレから現れます。ここで再度の摘便。レシカル、意味ありました。便が下まで降りてきて、少しかき出しやすくなってる!でも、本人ではとても出せる状態じゃありませんから、私がお手伝い。格闘の末、大成功を収めました。そして、その達成感にプラスαでここのところずいぶん忘れていた、嬉しいおまけがありました。「看護婦さん、もう1回名前教えて?」です。
 
 患者さんの話を傾聴した後とか処置の後とかに、ありがとうって言われるのはもちろん嬉しいんだけど、更に名前も聞かれるのって嬉しくないですか?私、これをされるとものすごく嬉しいんです。名前を覚えようとしてくれてると思うと、またがんばろう!と思えるんですよね。もちろん患者さんが怒ってる時は除きます。クレーム用の名前確認もよくあるパターンですけどね。

 フリーの時はあまり患者さんに名前を聞かれることってなくて、毎回看護師の名前を気にする患者さん以外ではあんまり聞かれなかったんですよね。入院はとってたので、時々は名前を覚えてくれてたりすることもあるんですけど、その後受け持ちはしないからすぐ忘れられちゃうか、元々あまり覚えられない方も多かったりして。それが、受け持ちナースになった初日から名前を聞かれるなんて!感動でした。

 翌日、その方は私のことを下の名前にちゃん付けで呼んでくれるようになりました。その日は他の患者さんにも名前を再度聞かれて、なんだか「私、働いてるな!」という実感がより沸いた気がします。まぁ、翌日以降も毎日のように摘便と座薬の日々で、回復期病棟の部屋持ちは便との戦いが異様に多いのだということも思い知りましたが。排便コントロールは難しいですね。

  そしてその後2週間は同じチームを週3日くらい受け持ち、ついに昨日は、いつも受け持ってたチームよりも人数が少ないけど、認知症全開の患者さんが断然多い他のチームを受け持ちました。離床センサーやらイスセンサーやらが私の担当患者さんの部屋やイスから鳴りまくり。大変!自分だけでは対応しきれないので、他のスタッフも必然的に巻き込みます。そして、ここのチームでもまた便の洗礼を受けました。食後に嘔吐して、顔面蒼白になっちゃった患者さんがいたんですけど、便秘で嘔吐とわかるまで、レントゲンにCTに、採血に点滴にと色々振り回されましたよー。途中で、頭痛で叫んだり、一転今度は真っ青な顔で「主人にお別れを…」とか言い出しちゃって、こっちも心配でバイタル測るけど、意外に普通…みたいな。騒ぎすぎ!まぁ、脳出血とかでなくてよかったですけどね。そして、このチームはとにかく点眼だらけ。点眼と摘便で終わった1日でした。チームによって本当に大変さが違います。どこのチームでも持てる頼もしいナースになれるようがんばっていかないと!とはいえ、回復期は患者さんは基本元気なので、普通の病棟よりも全然緊迫感がなくて楽なんで、ここで受け持ちナースできるからって他の病棟でも通用するかと言われればそうではないんですが。私もまた看護師としてリハビリ中なので、ちょうどいい塩梅かなー。

 私が週に3回ほどの部屋持ちを始めて病棟の他の看護師さんが楽になったのかはわかりませんが、フリーの時よりも今の方が仕事は楽しいかなぁ。ただ、部屋持ちナースになると、書かなくてはいけない書類やケアプラン評価や体温表やらが色々あって、紙カルテの面倒くささが骨身にしみてわかります。部屋持ち始めて3週間たちますが、体温表も必ず1個以上の抜けを指摘されております…。20人くらいの体温表書くのって、何をどこまでやったかがわからなくなってしまうんですよね。とりあえず、1日も早く記録の抜けがなくなるようにがんばらなければ!

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