回復期病棟に勤務して働いて思うこと

日本の超高齢化社会化をひしひしと感じる

今の病院でも80代の独居や夫婦2人暮らしだった人たちバンバン入院してくるし(っていうか、がそうです)、この前は9歳同士の2人暮らしだった人も来ました。70

いいんです。自分たちで頑張れるうちは頑張ってもらって。ただね、病気や怪我をした後、障害が残ってる状態で老老介護をしたり、独居で暮らすというのは並大抵のことではないと、リハビリ病院にいると本当に思うんです。

 私が急性期の病院や内科の病院にいる時は、患者さんの退院後の生活とかまであまり気にしたことがなかったんですよね。大学病院の時は特別病棟だったので、亡くなるまでいるとか、訪問看護婦さん雇って自宅で看ますとかお金でどうにかなっちゃう感じだったので。長男君産んでから働いた内科では、元々施設にいる人の急変で治ったら施設に戻すとか、今回の入院で施設出されちゃったから他の施設探すとか、自宅からの入院だけど、レスパイト入院させたらすごいADL落ちちゃって、弱ったところに肺炎起してさらに廃用性症候群が進み、明らかに施設か療養へ行かないと無理っていう状態の患者さんが時々いる感じでした。普通の病院ではリハビリも少ないので、ADLはそう上がっていきません。私たちも結構車椅子に乗せたりしてたけど、それだけではなかなか…。

 でも、というのは自宅に帰れるか、施設かという大きな分岐点になるところ。考えないわけにはい。リハさんやソーシャルワーカーさん、先生たちと色々カンファレンスしながら、退院まで持っていくんだけど、本人・家族と医療者側の見解が食い違うことが多々あります。入院前同様に独居や高齢夫婦2人暮らしを希望される方が本当に多いんです。本人が元の生活に戻りたがるのは仕方ないと思います。本人の希望を叶えてあげたいご家族の気持ちもわからなくありません。入院当初はわかります。この間まで元気だった親が急に病気や怪我で動けなくなったりというのが受け止められない気持ち。まったく動けなかったのがリハビリでどんどん動けるようになっているのを見て、期待してしまう気持ち。

 でも、何ヶ月も経ってどう見たって介護度が高い患者さんなのに、「独居に戻したい。」「夫婦二人暮らしに戻したい。」と強固に言っている家族は、一周回って患者さん想いでもなんでもない気がしてしまいます。体が動くようになっても高次脳障害がきつかったりすると、排泄面がネックになったり、実は見守りが常に必要とか本当に難しいんです。人口骨頭が入っている患者さんでも認知症があると禁忌肢位がわからなくて脱臼が危ないとかもあるし。直接的な介護が必要ならもっと大変です。サービス入れれば大丈夫と思っているご家族も多いですが、入れるサービスも限られてるんですよね。やはり1・2ヶ月くらいしたら現実を見ていかなくてはいけないのです。ご高齢な患者さんの子供もまた高齢になってくるので、同居するなら大丈夫というわけでもないのですが…。私はパートだから、退院の方針に口を挟む役目はしないのですが、プライマリーを持っているナースの皆さんは頭を抱えながら日々働いています。

 そして、最近のうちの病棟で増えているのは、患者さんご本人だけでなく、退院後2人で住むはずの旦那さんや奥さんも認知症バリバリのパターン。今現在でもうちの病棟は認知症病棟かと思うほどの状態なのに、更に面会に来た家族まで面倒を見てあげないといけないので、もうわけがわかりません。病院内で迷って職員に病棟まで連れてきてもらう旦那さんや、自力で病院内を迷いまくってから面会にくる旦那さん、帰り道を毎回30回くらい教え、さらに玄関まで送り出さなくてはならない旦那さん、制限食で嚥下も怪しいのに間食を隠れてさせてしまったり、食べ物置いていっちゃっう奥さん、車椅子のストッパーをかけずに隠れて立たせちゃう奥さん。他の家族と決めた方針を忘れてしまって何度も激怒して現れる旦那さん。「どうやって今後2人で暮らさせるおつもりですか?」という状態のケースが増えています。お互いに元気ならね、その状態でも多分やっていけるんです。狭い生活圏内で動くと思うので。ただ、そこに麻痺があったり、高次脳障害があったり、認知症があったり、禁忌肢位があったり、足の不自由さが残った患者さんが戻るとなると…共倒れの構図が見えます。しかも、そういう時に限ってすごい坂の上や階段の上、エレベーターなしのマンションに住んでいたりするんですよね。とはいえ、そんな状態の2人と同居するとなると、ご家族もまたすごい負担になると思うし。難しいですね。

 超高齢化社会はもうそこまで来ているといいますが、もうその恐ろしさをひしひしと感じています。私がおばあちゃんになった時、どうなっているのかしら。ボケボケになりながら、家の中で転びまくりながら、旦那さんと2人暮らししているのかしら。うーん。怖い。

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